より子の言の葉。

30代半ば独身女の読書ブログです。

【感想】圧倒的な会話力「十二人の死にたい子どもたち」

お久しぶりのより子です。

書きたいと書けないと読みたいの間でゆらりゆらり。

ようやく書いてみようと思える本に出会ったのであります。

本屋の平台で、Twitterで度々見かけたこの本。

虐待系かな?自殺系かな?ちゅーことはいじめかな?

いやいや、集団安楽死の話だったのでありますよ。

漫画化・映画化されるようで、いかほどかと読んで見れば大当たり。

近年まれにみるクローズド小説の傑作でありました。

十二人の死にたい子どもたち

あらすじ

廃病院に集まった十二人の少年少女。

彼らの目的は「安楽死」をすること。

決を取り、全員一致で、それは実行されるはずだった。

だが、病院のベッドには“十三人目”の少年の死体が。

彼は何者で、なぜここにいるのか?「実行」を阻む問題に、十二人は議論を重ねていく。

互いの思いの交錯する中で出された結論とは。

物語の冒頭。

廃病院に集う子どもたち。

一人一人の独白から物語は転換していく。

廃病院の地下に置かれた12個のベッド。

物語の殆どが閉ざされた病院の、さらに閉ざされようとしている地下室で進んでいく。

完璧なまでに会話だけで進む物語。

「死」を求めてきたはずなのに「死」に対する恐怖が垣間見える。

緊張と疑心暗鬼の心理戦。

読み始めたら止まらない。ゾクゾクする面白さがあるのです。

とりあえずタイトルと表紙が魅力的過ぎる

映画「誰も知らない」を彷彿とさせるやりきれない子どもの姿のようで、不敵な笑みを浮かべているようにも見える。

そして、男か女なのかもわからない。

若者特有のどっちつかずのモラトリアム時代。

何故12人の子どもは死にたいのだろうか。

著者を見れば沖方丁(うぶかたとう)じゃありませんか。

忘れもしない2010年の本屋大賞受賞作「天地明察」

私の愛する「神様のカルテ」を押しやって大賞になりやがった憎き敵。

未だに読めずにいる天地明察を先に読むかどうか悩んだけれど、あっさりと誘惑に負けたのです。

だってもうすぐ映画化するんだって。

それまでに読んだ方が絶対良いって言うんだもの。

「面白そう」の誘惑に勝てない私の弱みです。

新刊買い。初読みなのに新刊買いしましたよっと。

舞台設定と脇の甘さを押し切った会話力

ふたを開ければ自殺サイトで知り合った12人が議論をして、全員一致した時のみ安楽死を実行する。

予想外だったのは、13人目の謎の死体。

それでもただただ死にたい子どもと、納得して死にたい子ども。

終わらない議論。

話を重ねれば重ねるほど深みにはまっていく。

いやいや、さっさと死ねばいいじゃん←

おっと心の声が漏れたけど、マジで本当に思うのよ。

それでもね、押し切られるの。

本格派ラブ。社会派ラブ。リアリズムこそが正義!

がモットーの私が、細かいことは置いといて、クローズドの中で展開する会話と場の空気感に圧倒される。

例えばね、血だまりに人っぽいカタマリが倒れていて、偉そうな人が「あれは死体だ近づくな」って言われたら、私流されると思うのよ。

よくよく考えたら何かおかしいんだけど、読んでいる最中にはわからないの。

冷静に読み切れなかった面白さがある。

12人の個性を活かした会話力。

まじで凄いから。

安楽死という魅力

タイトルから生まれる疑問。

何故死にたいのか。

この理由が面白くて(笑えるという意味ではない)、私は安楽死を推奨しているけど安易に出来たらダメだなとも思った。

小説の出来事と言われてしまえばそうだけど、モラトリアムな子どもたちは何がきっかけで死にたいって思うか大人にはわからない。

そして多くがそうであるように、大人は相談されない。

そういえば最近闇サイトで知り合って集団自殺云々ってニュース見なくなったね。

サイトの摘発が厳しいのかな。

それとも数が多すぎてニュースにならないのかな。

精神科医が言ってたけど、自殺する人の9割は鬱とか何らかの精神病を患っているらしい。

それと違って安楽死は選択だ。

12人の子どもの選択する意味と、それぞれに対する考え。

皆違って皆いい。けどもこの「皆を知る」という大切さを教えてくる作品なのでした。

周辺情報

第156回(2016年下期)直木賞候補作品。

この時の大賞は恩田陸の「蜜蜂と遠雷」(未読)

審査員たちが辛口コメント過ぎて自分の判断が鈍るけど、私は面白かったよ。

<映画予告編>

www.youtube.com

<映画オフィシャルサイト>

こんな人にオススメ

・気になってる人

間違いないからどうぞ。

・安楽死の魅力に取りつかれている人

笑えるからどうぞ。

 ・クローズドミステリーが好きな人

論理は合ってるからどうぞ。

十二人の死にたい子どもたち (文春文庫)

十二人の死にたい子どもたち (文春文庫)

 

 

天地明察(上) (角川文庫)

天地明察(上) (角川文庫)

 

話題作のはずなのにブログの数がこんなに違うなんてどういうこと(笑)

まぁいいや。一番乗り。

天地明察もいつか読む。

本日、おしまい。