より子の言の葉。

30代半ば独身女の読書と徒然雑記ブログです。

【読書感想】穂村弘の”もしもし、運命の人ですか。”を読んで私は初めて活字に恋をした。

f:id:bookbb:20180705231437j:plain

ーー私の運命の人は、穂村さん貴方です。
なんて思わず言いたくなるほど日本語の選定と美しさが秀でている一冊です。

どうも、より子です。

溢れる思いが強すぎて、先走ってしまいました。

今日は愛してやまない穂村弘さんの本を紹介したいと思います。

もしもし、運命の人ですか

まず、タイトルが秀逸。凄く控えめなのに、とても大胆なことを言う。ドキッとするしかないじゃないですか。なのに疑問文じゃない。私に答えを言わせようという魂胆が読了後の人には伝わると思う。ずるい、ずるいよ穂村さん。

歌人・穂村弘を私は知らない。 

著者である穂村弘さんは、北海道出身の1962年生まれ。

職業、歌人。

歌人とは、短歌(和歌)を巧みに作る人です。

「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日

私の知っている現代の歌人なんて俵万智くらいです。

歌集なんて手に取ることもなかった人生。それなのにこの本を手にしたのは、運命だったからなんていう訳では勿論なく、知人からのオススメです。

同郷でとんでもなく面白い人がいる、絶対面白いから読んでみなよと言われて購入したものの、恋愛エッセイなんて苦手だなぁと暫く積読していました。今ではそれを激しく後悔しています。もっと早く読んでよきめきたかったです。

内容紹介

或る夜のこと。友達の家に何人かで集まって遊んでいるとき、コンビニエンスストアに食料の買い出しにゆくことになった。「僕、行こうか」と私が名乗りをあげると、「じゃあ、あたしも行く」とSさんが云った。どきっとする。今、Sさんは「じゃあ、あたしも行く」って云わなかった?「じゃあ」ってなんだ?―恋なんて縁がないと思っている人に贈りたい、人気歌人の恋愛エッセイ集。

ところどころに短歌が散りばめられていますが、短歌なんてよくわからないって人でも全然問題ないです。98%どうしょうもないエッセイ集です。

おじさんの恋愛エッセイ集。どこに需要があるのって不思議に思うかもしれません。でも一度読めばこの魅力がわかると思います。同じ状況に置かれて、同じものを見ても穂村さんの見えている世界は儚くて繊細です。

こんな書き方をすると、とてつもなくロマンチック内容なんじゃないかと思うかもしれない。だけど、それは違います。むしろ真逆なんです。情けなくてどうしようもない男の話です。ってうか滅茶苦茶笑えます。

1%ほどのラブレター

強く伝えたいのは、この本は決してモテ男の正統派の恋愛エッセイではありません。

悪く言えばおじさんの妄想です。妄想なんだけれど、さらけ出すことで愛しさと可愛さが滲み出て、私は穂村さんのことをもっと知りたくなるし、麻薬のようにその活字に魅せられるのです。

「思わせぶりな1行」「曖昧な疑問文」それは「?」では強すぎて相手に強要してしまうけれど、僕に好意のある女性ならきっとキャッチしてくれるはずだと。だから、僕は未来への可能性を最大限に確保しようと散りばめる。(中略)

「ほむらさん、恋愛に対するセンサーが過敏っていうか、意識が過剰だよ」と、何年か前に友人の女性に云われたことがある。

「そういう姿勢は、本当の出会いを逆に遠ざけるんじゃない?」

どきっとする。

「『~なのかな。』をばらまくなんて、人間のオーラを濁らせるよ。もっと清潔にリスクを負わないと」思わず反論しかけて、いや、確かにそうかも、と納得する。

でも、と私はつい考えてしまう。

そこまで言い難いことをはっきり云ってくれるのあなたは、私のことが嫌いじゃないのでは。私のことが嫌いじゃないあなたは、私のことが好きなのでは。

穂村さん、もてるよね絶対。読んでいてこんなにもニヤニヤが止まらない本は初めてです。愛しくてしょうがない、不思議な人。

ぜひ、ご一読頂きたい1冊です。

もしもし、運命の人ですか。 (MF文庫ダ・ヴィンチ)

もしもし、運命の人ですか。 (MF文庫ダ・ヴィンチ)

  • 作者:穂村弘
  • 出版社:メディアファクトリー
  • 発売日: 2010-12-21
絶叫委員会 (ちくま文庫)

絶叫委員会 (ちくま文庫)

  • 作者:穂村 弘
  • 出版社:筑摩書房
  • 発売日: 2013-06-10