より子の言の葉。

30代半ば独身女の読書ブログです。

完璧な伊坂をご覧ください。「残り全部バケーション」

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どうも、人生迷子のより子です。

最近、録画していたアメトーークの「HUNTER×HUNTER芸人」をようやく見ました。

『伏線回収が凄い。』『悪役がかっこいい。』

というのが印象的だったのですが、ピンときませんか。

小説家で伏線回収&イケテル悪役を書く達人と言えば伊坂幸太郎、この人を置いて右に出るものはいません。

というわけで、最近読了した「残り全部バケーション」の紹介です。

ひろたつさんインスパイアの追っかけ記事です。

あなたの“刷り込みキャラ”は誰?伊坂幸太郎『残り全部バケーション』 - 俺だってヒーローになりてえよ

読み比べると面白いですよ(多分)

「残り全部バケーション」伊坂幸太郎

あらすじ

 当たり屋、強請りはお手のもの。あくどい仕事で生計を立てる岡田と溝口。

ある日、岡田が先輩の溝口に足を洗いたいと打ち明けたところ、条件として“適当な携帯番号の相手と友達になること”を提示される。

デタラメな番号で繋がった相手は離婚寸前の男。

かくして岡田は解散間際の一家と共にドライブをすることに―。

その出会いは偶然か、必然か。裏切りと友情で結ばれる裏稼業コンビの物語。

本書は、異なる文芸誌に掲載された4つの短編と書き下ろしの1つが合わさった作品です。

一見バラバラのストーリーだけど、どこかで誰かが(もしくは何かが)繋がっています。

連作短編というより、五芒星のような繋がり方をしています。

ただ、特に何の意識をすることなく読んでも、非常に面白いので安心してください。

因みにあらすじは一章のあらすじであり、ドライブをして終わるような話ではないことを初めにお伝えいたします。

結論、伊坂は今回も完璧に伊坂でした。

私が、伊坂に求めるもの。

  • 完璧な伏線回収
  • 小粋な会話
  • 痺れる読後感

以上。

今回もお見事でした。拍手。

と、このままこれで終わってもいいくらいなんだけど、

ネタバレしない程度にちょっとだけ語らせてください。

相も変わらず伏線回収が凄い

本書の伏線が凄いのは、本筋とは全く関係なさそうな本当に小さな事柄が、回収されることです。

「えぇ、あれがそう繋がるの」と、わかったときに鳥肌が立ちます。

伏線が伏線っぽくない。

伏線ってもっと思わせぶりじゃなかったっけ。

たくさん伊坂を読んでいて、結構疑っているのに、伏線じゃないものが伏線になる不思議。

伊坂マジックです。

毎度見事に騙されます。

どうも単純思考です。

私のめちゃくちゃな感想

タイトでキュートなヒップがシュールなジョークとムードでテレフォンナンバー/YouTube

という昔の曲を知っている人はいるでしょうか。

本書を読んでイメージしたのはこの曲です。

なんだかよくわからないけど、ゴロが良い、リズムが良い、耳に残る。

そして滅茶苦茶すぎてちょっと笑っちゃう。

勢いと雰囲気。

本書の感想の第一声は

「なんだよ。なんでこんなめちゃくちゃな設定なのに面白いんだよ。」です。

一家離散のその日、「友達になりませんか」というメールに返信し、その男と家族3人でドライブと食事をする。

いやいや、しないから普通。

返信もしなければ、ドライブにも行かない。

ネットで知り合った人とは、むやみやたらに会わないようにって習ったでしょう。

特に密室なんて危険です。絶対にやめてください。って突っ込んでいいでしょうか。

ーーでも気づいたら4人で食事しているんですよね。普通に。

まるでそれが当たり前かのように。

飲み込ませるのが巧みの技。いや、本当にそうなのかな。

私、騙されているんじゃないだろうか。

読んでいて不安になる程めちゃくちゃな設定に、どんどん引き込まれていくのです。

伊坂にしかできない小説技巧じゃないかと思っています。

リアリティが無いのに凄くリアリティがある。

なんだこれ。

いい人なのか悪い人なの分からない

 「まあ、お仕置きなんてのはたいがい、する側の勝手なんだよ。子供に非はない。あったとしても、こんなに痣つけられるほど悪い子供なんているわけねえよ」

「溝口さん。子供のことそんなに好きでした?」

「子供はそんなに好きじゃねえよ。ただ、こうやって痛めつけられている奴を見るとな、他人事とは思えねえんだ」

この二人「言いづらい仕事」をしています。

「相手が泣きそうな顔」になる仕事です。

もっとはっきり言うと、当たり屋とか人をさらったりしています。

(身もふたもないけど、これはネタバレじゃないです。)

で、だ。

この流れ、悪い人が虐待された子を助けるよ!ってなると思うんですよね。

ところがどっこい。

「助けなくてもいいんですか」

「何で助けないといけねえんだよ(中略)またすぐ殴りはじめる。そういうもんだ」

「じゃあ、どうすればいいんですか、この子」

「まあ、どうにか耐えて、生き残れ」

簡単に予想を裏切られます。

予定調和な展開に飽き飽きとしている私は、本書にくびったけなのですよ。

残り全部バケーション 

ニートだった頃「今は人生の夏休みだと思え」って言われたことがあります。

やりたいことをやりきった人生だから、脱力鬱だったんですかね。

暫くの間「今」はもう「老後」なんじゃないかと思っていました。

余生を穏やかに楽しむからそっとしておいて下さい。って。

なんて投げやりな女だ。

そりゃあ旦那も出来ないわ。(多分違う)

でもね、やっぱりせっかくなんだからバケーションを楽しんだ方がいいんです。

残り全部バケーション。

いい言葉です。

読んだらもっといい言葉になります。

というわけで、全人類がご機嫌になる仕様なので、今回も完璧な伊坂をどうぞご覧ください。

以上。おしまい。

残り全部バケーション (集英社文庫)

残り全部バケーション (集英社文庫)

  • 作者:伊坂 幸太郎
  • 出版社:集英社
  • 発売日: 2015-12-17

 <おまけ>

それでもやっぱり砂漠が好き。

砂漠 (新潮文庫)

砂漠 (新潮文庫)

  • 作者:伊坂 幸太郎
  • 出版社:新潮社
  • 発売日: 2010-06-29